2009年06月10日

奇跡の脳

先日、とても興味深い内容の本を読んだので
ご紹介します。

奇跡の脳奇跡の脳
Jill Bolte Taylor 竹内 薫

新潮社 2009-02
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著者はハーバードの第一線で活躍していた女性脳科学者です。
37歳の彼女は
ある朝、脳卒中の発作に突然襲われました。
左脳から大出血が始まって
左脳機能がほぼシャットダウンしました。
それは
残された方の右脳意識を
強く意識させられる体験でもありました。

後でご紹介する
ジル・ボルト・テイラー博士の講演動画によると
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
右脳は、すべて今、この瞬間にフォーカスをしています。
身体感覚を通して、今、この瞬間に感じていることだけを
捉えます。

この瞬間に感じる感覚、音、におい、味、をエネルギーのレベルで捉え、
自分自身もエネルギーの存在であり、
つねに周りとつながっている存在であることを感じています。

今、この瞬間、私たちはひとつであり、
この惑星をよりよい場所にしていくために生きていて、
今、この瞬間に、私たちは完全であり、
かけているところは何もなく、
美しい存在だと、右脳の意識では感じられるのです。
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その一方、左脳はまったく別の捉え方をします。
直線的、理論的に物事を考え、つねに過去と未来に
フォーカスをし、
起こっている物事をできるだけ詳細に捉え、
そのすべてを過去のデータと照らし合わせてから、
未来に向けての可能性を考えます。

左脳は、すべてを言語で捉えます。
今日は帰りにバナナを買って帰らなくちゃ・・・とか、
今日は洗濯を忘れないようにしなくちゃ・・・とか、
頭の中でありとあらゆることを計算し、
いつもおしゃべりをしています。

一番の左脳の特徴は、
左脳が「私」と言うとき、その「私」というのは、
周りのすべてから切り離された「私」、
すべてのエネルギーの流れから断絶された「私」なのです。

私が脳内出血をした朝に失ったのは、
この左脳が捉える「私」でした。
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つまり
ジル・ボルト・テイラー博士は
脳卒中の発作によって左脳機能がどんどん崩壊し
左脳意識が失われていく体験と
右脳のみが起動している意識状態を
脳科学者として、脳卒中の発作におそわれた当事者として
内側から観察することになったのです。

そして、8年間に及ぶリハビリの末に
左脳機能が回復した現在では
自らが体験した(している)右脳意識状態を
(左脳意識を使いながら)
私たちに言葉で説明し、教えてくれているのです。

本の内容は
・脳卒中になる前の生活
・脳卒中当日
(左脳意識が崩壊していく過程と右脳意識が真正面にあらわれる様子)
・回復に至るまで
・右脳マインドのすすめ
というような構成になっています。

最も興味深かったのは
・脳卒中当日
(左脳意識が崩壊していく過程と右脳意識が真正面にあらわれる様子)
でした。
ものすごくリアルに描写しています。
左脳意識が失われるということはこういうことなのか、
言葉や「過去」や「未来」が何の意味も持たない意識とは
こういう感じなんだとよく分かりました。
また
右脳のみが機能している意識状態になると
彼女は多幸感や心的涅槃状態を体験したそうで
その様子もとてもよく分かりました。

この本は
脳科学者が当事者として経験した
脳卒中発作とその回復のプロセスを記したものとして
大変貴重だと思います。
あるいは
右脳意識と左脳意識についての体験的な理解を深めることができるでしょう。

左脳機能・左脳意識により偏りがちな現代社会においては
このような内容の本は
ともすれば「右脳礼賛本」として受け取られがちです。
あるいは、逆に
「うさんくさいオカルト本」「宗教がかった本」とされる場合も多いでしょう。
そのどちらの受け止め方も
「左脳」と「右脳」のどちらかに偏った視点と言えるのではないでしょうか。

この本をよく読めば
左脳と右脳をバランス良く使いながら
豊かな人生を生きようという博士のメッセージがよく分かります。

私の頭の中にも、もちろん脳があって
左脳と右脳に分かれているわけです。
そして
私が認識していること・意識していることは
左脳と右脳の折り合いの末に生まれている自意識なのだと思いました。
さて、今の「私」は
左脳が捉える「私」と右脳が捉える「私」のどちらが優勢?

「へぇぇ。こういう風に意識が揺れ働くんだなぁ」
「ただ単に、私はその方向へと自意識が向いていないだけなんだなぁ」
「今の私は、左脳と右脳とどちらを使っているのかな」と
いろいろ考える良いきっかけとなりました。

最後にジル・ボルト・テイラー博士の講演動画です。
自己紹介・脳卒中の発作・経験から学んだことが
コンパクトにまとまっています。
ぜひご覧下さい。

ジル・ボルト・テイラーのパワフルな洞察の発作
(日本語字幕つき。
もしも無い場合には、上のメニューで日本語字幕が選べます)
http://www.ted.com/talks/lang/jpn/jill_bolte_taylor_s_powerful_stroke_of_insight.html
posted by 加藤まや at 14:31 | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする

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